研修を語る
2024/07/18更新
財務研修~ビジネスゲームで会社経営の視点から実践的に学ぶを語る
ゲームを楽しみながら、財務と数字の基本を学ぼう!
―まずは研修の概要をお伺いしたいのですが、難しい印象のある「財務諸表」や「数字」について、ゲームで学べるというのは非常に興味深いです。
はい、財務諸表や数字はとっつきにくい印象をお持ちの方も多いと思います。それを、会社経営の視点からゲームを通して実践的に学んでもらうというのが、この研修の狙いです。流れとしましては、研修テキストの一章から三章までが基本の基本。「売上とは何か」から始まって、財務三表と言われる「損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)・キャッシュ・フロー計算書(C/F)」それぞれの特徴や数字の見方を学ぶ講義になります。そして、四章からの後半がこの研修の中心と言えるビジネスゲームです。
―前半で基礎知識を頭に入れ、後半ではそれを駆使してゲームで体験学習するという流れですね。
そうです。チームに分かれてそれぞれ役職を決め、仮想の設定で会社経営を行います。講義や演習問題だけでは理解しにくい、お金と物の流れを実感していただくことが、この研修の最も重要なポイントとなっています。
―ゲームに使用する教材を拝見しました。数字をエクセルに入力していくところが、まるで本当に会社で実務を行うような感覚ですね。基本を教えてもらった直後なら、身につきやすいのではないでしょうか。
そうですね、さらにゲームの進行中にも解説を行いますので、皆さん理解しやすいと思います。ちなみに、私も含め多くの方が経験していると思うのですが、このような知識は勉強したときは覚えていても、日が経つと忘れてしまうことが往々にしてあります。
―あります!勉強した瞬間は覚えていても、翌日にはちょっと怪しくなっていたりします。
そこで、知識を本当に自分の中に落とし込むために、仮想の世界ではありますが、実際に自分で売上を決めたり計画をしたりしながら、お金を動かしてみることで、講義で学んだ決算書上の数字の意味を体感することができます。それがこの「ビジネスゲーム」の大きな強みです。
数字を扱う業務だけでなく、チームビルディングにも効果
―この研修は、どんな方が受講されるのでしょうか。従来の財務関係の研修というと、数字を扱う部門に特化しているものが多い印象ですが。
この研修は、弊社で新作として公開してから、それほど日は経っていないのですが、実にさまざまなお問合せがあり、幅広い目的でご利用いただいています。新入社員から比較的若手の方、年齢は20代から30代が中心です。
―中でも多いのは、どのような部門ですか?
多いのは、経理をはじめとする数字に関わる部門です。すでに数字を扱う仕事を経験しているものの、部分的にしか関わっていないため、全体像をしっかり学ばせたいという目的で、会社から申し込まれるケースが主です。そういう方は基本的な知識をお持ちなので、ビジネスゲームを徹底的に体験したいというご要望をいただきます。
―先ほど新人の方も受講されるとのことでしたが、それは新人研修という形になるのでしょうか。
はい、最近非常にお問合せが増えてきました。4月から6月にかけて、はじめて社会に出られた新入社員の方へ、会社における数字の概念を知ってもらい、高い視座からお金の動きを見られるように、最初の段階で研修を組み込まれる会社が多いです。どうしても講義だけだと頭に入りにくいということもあり、ゲームを用いて楽しく学べるところが注目されています。
―ほかにはどういう目的で受けられる方がおられますか?
主たる目的は財務ですが、あわせて「チームビルディング」も体感して学んでほしい、というお声もいただきます。この研修のビジネスゲームは、ひとつの会社を仮想で作り、各々が役職を持って進めていきます。その中で意思決定をしたり、財務について話し合いをしたり、チームワークがカギになる部分がたくさんあります。
これまでも新人の方向けに何度か実施して、「助け合いができてよかった」「メンバーの名前が覚えられた」「成長が実感できた」など、高い評価をいただいています。複雑な資料など、準備する側は大変な部分もありますが、楽しい研修ですし講師としても非常に手ごたえがあります。
ゲームで数字の感覚を得るには「くり返す」のがコツ
―ビジネスゲームについて、さらに詳しくお伺いします。このゲームの中で、いちばん肝になる部分はどのあたりでしょうか。
第四章「ビジネスゲーム~チームで会社経営を行い、財務諸表の基本を学ぶ」、この章すべてがビジネスゲームの部分なのですが、その中で最も難しいのが財務諸表の作成です。財務諸表は基本の講義の最後の章で学ぶ項目なのですが、難易度が高いため最初は特に時間がかかります。
―教材を拝見すると、第0期から第6期までありますね。やっているうち、だんだんとスラスラ書けるようになるのでしょうか。
最初に書いてもらう第0~1期は、だいたい30分くらいかかることが多いです。ただ、ゲームの後半になるともう少しテンポよく進まないと、回って行かなくなりますので、最後の方は15分くらいで切り上げて、すぐフィードバックに入ります。
―初期だけやって終わりではなく、ちゃんと最後までやるんですね。
やります。このゲーム自体、最低でも第4期以上はくり返していただかないと、学習効果が薄れてしまいます。この「くり返し」行うことが最大のポイントであり、このビジネスゲームの特徴だと考えています。
―このビジネスゲームを行うことで、どんな学習効果が得られるでしょうか。
受講された方からは「すごく達成感があった」とコメントをいただいております。ゲームでは自動車販売会社を想定して、チームで財務諸表を作成します。はじめは何を書いていいかわからず、講師のフォローが必要だったりするんですが、くり返していくうちだんだんと、どこにどの数字を書けばいいかわかっていきます。
―自分で記入できるようになれば、ゲームが面白くなりますね。
そうなんです。くり返しの効果で知識としてもしっかり身につきますし、ご自身の成長の度合いを体感いただけるのは、この研修の面白い部分だと思っています。
ルールは簡単ですが、ゲーム自体の難易度は高め
―ゲームの中ではそれぞれの受講者が「役割分担」するということですが、具体的にはどういった役割になるのでしょうか。
自動車の販売会社という設定で、社長、財務責任者、販売責任者、仕入責任者を各チームで決めます。会社名や経営方針も、話し合って決めてもらうので、同じものを販売しても、チームによって個性が出ますし成績も大きく違ってきます。
―本物の会社みたいですね。誰がどの役割をするかでも、かなり経営が変わってきそうです。
実はこの役割分担のところで、けっこう盛り上がります。ゲームスタート時のワクワクする部分ですね。受講者は割と若手の方々ですので、ご自身の実際の立場からすると、責任が重たすぎるくらいの役職です。しかしそれが、リアルに会社経営している感覚を養います。
確かに、チーム分けに関しては運が左右する部分はあるでしょう。ただ、昨今でもコロナ禍に見舞われるなど、何が起こるか予測できないのが経営です。ゲームでも社長の方針によって、当たって砕けろ精神でガンガン行くチームもあれば、目標額を慎重に設定して確実に進めるチームもあり、それぞれです。
―このゲームの難易度はどれくらいなのでしょう。けっこう頑張らないと損が出てしまいますか?
はい、けっこう出ます。ルール自体は習ったばかりの基本的な知識なので、誰にでも理解できます。ただし、ゲームには仕掛けがいろいろあります。かんたんに儲かってしまうと気づきが得られませんので、あえて少しつまずくように進行は厳しめに設定しております。お金の回収も翌々期になっていますので、あまりに最初から勝負をかけすぎて、借金しないと回らないチームも出てきます。
―借金もあるんですか、本格的ですね。
はい、仮想の銀行から借り入れます。ゲーム終了時に全額返済してもらわないといけませんが。3期や4期になってくると、ようやく収益が出て財務諸表の各部分に変化が出てきたり、それによって残り時間が厳しくなってきたり、そこが面白いんですが、難しいところでもあります。
現代の感覚に合わせた、新時代の財務研修です
―ゲームの難易度はなかなか高そうですが、研修自体のレベルは、どの程度の知識が必要ですか?全く財務諸表に触れたことがない人でも、理解できるものでしょうか。
全く知識のない新社会人でもトライできる内容です。前半に一通りの基礎知識を学んで、それを応用したゲームになりますので、「財務のことはわからない」という方も、安心して受講いただけます。むしろ、そういう方にこそ数字の感覚をつかんでもらおうという内容です。
―安心しました。どうしても財務諸表というだけで、専門知識が必要なのかと尻込みする人も多いでしょうが、ゼロからでも大丈夫ということですね。ちなみに、このような研修はあまり見かけないのですが、ゲーム仕様というのは割と新しいスタイルなのでしょうか。
そうですね、もともとお客さまの「会社経営をゲームで学べないか」というご要望から企画を練り上げて、現代のニーズに合わせて開発したプログラムになります。
―従来の財務研修というと、途中で眠ってしまうような講座が多くて(笑)しかも、何日か経ったら忘れてしまうものも多かった気がします。やはり、そう言う部分でも企業側から、本当に実践的な研修が求められているということなんでしょうね。
そうだと思います。ビジネスゲームの前に行う基本の講座にしても、そもそも売上とは何なのかという知識を深めるところからスタートします。ワークも「会社の経営状態を表す数字には、どのようなものがあるのか洗い出す」「会社にとって利益はなぜ必要か考える」などの内容を取り入れており、これらによって利益の出る仕組みや会社が利益を上げるためにどうしたらいいかを理解してもらいます。
―ますます、初心者でも安心です。見せていただいた教材も丁寧ですよね。これがあれば研修が終わった後も、何度もくり返して一人でゲームをリプレイできるのではないでしょうか。
はい、可能です。ご自分でお好きな設定をして、ブラッシュアップのために利用していただきたいと思います。ゲームなので楽しみながらできますし、くり返し行うことでレベルが上がります。実際に私も、自分で教材を使ってうまくゲームが回るかテストしていました。
講師が教え方にもひと工夫しています
―受講者からの声を先ほどいくつかお聞かせいただきましたが、ゲームの最中や終わった直後では、どういう感想が多いですか?
冒頭で少し触れた「チームビルディングに効果があった」というお声が多いですね。新人同士の固さがほぐれるのもありますが、通常のチームビルディング研修だと自己開示などが必須なのに対し、この研修では役割になりきって楽しんでいるうち、自然に仲間意識が生まれてくるので、その点は敷居が低いのかなという印象です。
―財務の知識も身について、一石二鳥の新人研修ですね。
あとは「必勝法を教えてください」という方が、たまにおられます。勝負意識の強い方は、黒字で終わらせたかったという悔しさがあるようです。ただ、ビジネスゲームに必勝法はありません。そこは実際の社会と同じです。もともと研修自体の目的がゲームに勝つことではないですし、失敗の中から気づきを得ていただけたらいいなと思います。
―研修のゴールに掲げられている「日頃の業務と会社の数字との関わりを理解できる」という目標。単純に数字に強くなるだけではなく、実戦で役立つ社員を育成するためには、ここが最もこの研修で期待されている部分なのではないでしょうか。
そうですね。新人の方が実際に働き出して、お金の動きを体験すると「あっ、ここはゲームで学習した部分だ」と、思われることがきっとあるはずです。また、どんな職種の人でも同様に、研修の中で得た財務に関する知識や、経営に対する感覚などを、日頃の仕事の中で「気づき」として発見していただけると思います。そこからご自分の会社のお金の流れや、自身の業務との関係などが、きっと明確に理解できるようになると考えています。
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